羊の丸焼きを食べ、パレスチナに思いをはせる
去年の9月、JR京浜東北線・東十条駅方面からJR埼京線・十条方面に向かって歩いている途中、パレスチナ料理店を見つけた。興味はあったものの、時間がなかったので素通りし、それなのに十条駅前のクルド家庭料理に引きつけられるように入ってしまい、感激のあまりこのブログを立ち上げたのだった。(そのときの顛末はこちら)。
ブログ経由で パレスチナ料理店 Bisan のウェブサイトをご覧になったKさんが、メニューのなかに羊の丸焼きコースがあるのを発見! ぜひ食べたいとおっしゃるので、地方在住のKさんがこちらにいらっしゃるタイミングで〈羊の丸焼きを食べる会〉を設定しましょう!と約束した。同時に、そのときになったらすぐに声をかけられるよう、羊肉が好きそうな方にあらかじめ声をかける。どこかから噂を聞きつけてみずから参加を申し出た、Tさんのような方も。Tさん、以前この店に行ったときに羊の丸焼きコースがあるのを知り、機会があれば食べたいと思っていたのだとか。羊の丸焼き以外のメニューを召し上がったというTさんから美味しかったとお聞きして、ますます期待がつのる。
月日は流れ、今年の5月。「パレスチナ映画を2本観たら、パレスチナ料理が食べたくなった」とKさんからご連絡をいただき、眠っていた〈羊の丸焼きを食べる会〉プロジェクトが始動。以前に声をかけていた方に(記憶をたどりながら)改めて連絡し、最低施行人数の10人をそろえるため、Kさんもわたしもさらに何名か声をかけたところ、みなさん、「行きます!」とほぼ即答。総勢15名が参加することになった(その後、それぞれの事情により、残念ながら2名が参加できなくなってしまった)。
当日を待ちながら、Kさんがご覧になった映画『パラダイス・ナウ』と『オマールの壁』をわたしも UPLINK Cloud で視聴(5月31日まで無料だった)。ストーリーは重く、食欲をそそるような内容ではなかったけれど、それでも、『パラダイス・ナウ』でピタパンのサンドイッチを作る場面を観て(描写が丁寧だった)、ピタパンを食べたくなった(ピタパンを食べる場面については「その状況で食べるのか!」と突っ込まずにいられなかった……)。
さらに、偕成社の「世界のともだち」シリーズの『世界のともだち 18 パレスチナ』と『世界のともだち 17 イスラエル』を再読(この2冊はセットで読むべき)。『イスラームってなに? シリーズ4 イスラームのいま』も読んでみた。
さて、当日。お店の外観を撮り忘れてしまったという不覚(去年、前を通ったときに撮っていなかったっけ?と探してみたけれどなくて、代わりにこれが見つかった)。
まずは前菜。ひよこ豆のペースト(ホンムス)、空豆のペースト(フールミダンマス)、ナスとごまのペースト(バスクド二スィーヤ)、トマトのペーストなどをピタパンにつけて食べる。緑と黒のオリーブ、キュウリのピクルスも。ちょうどラマダーン中で、味見ができないと説明があった(空腹状態で料理……大変そうだ)。
ペースト、どれも甲乙つけがたく……。
ピタパンはひとり1枚。おかわりしたかったけれど、ピタパンでお腹いっぱいになってしまったら、羊が食べられなくなるので、我慢。
『パラダイス・ナウ』では、ピタパンを開いて、中に具を詰めてサンドイッチにしていたっけ。ピタパン、美味しいなあ。
サラダ(右奥)や煮込み料理が登場。これもピタパンにつけて食べる。ピタパン、もっと欲しい……でも、我慢……。
インゲンとトマトの煮込み(ファースリーヤ?)は、これから出てくるごはんにかけてくださいと言われた。
真打ち、羊の丸焼きの登場! みなさんテンションが上がって、写真を撮りまくる(ちなみにこのころ、わたしの Twitter の TL に羊の丸焼きの映像があふれていたらしい)。
ひとり分ずつ、皿にとりわけてもらい、インゲンとトマトの煮込みをかける。
写真を撮り忘れてしまったけれど、ヨーグルトもあって、「ごはんにかけてください」と言われたのでその通りにしてみた。ごはんにヨーグルトをかけるなんて初めてだったけれど、美味しかった。日本の普通のヨーグルトに比べて濃厚で水分少なめな感じだった。
そして、〆のデザート。
バスブーサと呼ばれるものらしい。材料はセモリナ粉とハチミツとココナッツとのこと。これも絶品だった。レシピを調べて作ってみたい。
写真を撮り忘れたけれど、飲みもの、みなさんはトルコビールやワインを注文。アルコールがだめなわたしはざくろジュースにした。濃厚で美味しく、おかわりしてしまった。
名残りを惜しみながら、会計して退散。余った羊肉とごはんは、人数分に分けて、お土産として持たせてくれた。会計の際、オーナーシェフさんに「どこでこの店を知りましたか?」と聞かれたので、「通りすがりにたまたま見つけました」と答えました。
電話で予約を入れたとき、とても感じがよくて、その時点でいいお店に違いないという直感があったけれど、その直感は間違っていなかった。
「美味しかったね!」「ぜったいまた来る!」などと口々に言いながら帰途につく。
撮った写真を眺めながら、すでにパレスチナ料理が恋しくなっている。