ロシアの食卓
長女とわたしと、たまたまそれぞれの用事で別々に吉祥寺に来ていて、せっかくなので、待ち合わせて一緒にお昼を食べることにした。で、前から一度行きたかったカフェロシアへ。
2016年はわたしにおけるロシア年だったので、ボルシチやオリヴィエサラダ、ペリメニが何度か食卓に並んだ(レシピは『世界を食べよう! 東京外国語大学の世界料理』や『亡命ロシア料理』を参考にした)。やまねこ翻訳クラブのメールマガジン「月刊児童文学翻訳」の1コーナー、「お菓子の旅」ではプリャーニクを取り上げた。それなのに、ロシア料理店に行きそこなっていたのが心残りだった。
カフェロシアは「ロシア料理とジョージア(旧グルジア)料理の店」。そういえば、今年4月〜5月の「世界の車窓から」がジョージアだった。BGMで流れるジョージアの音楽がエキゾチックで、ソ連時代の車両がノスタルジック。そして、グルジア文字はかわいい。読めないけれど。まあ、キリル文字も読めないんだけれどね。
ランチのメニューはどれもロシア風。A〜Cの3つのなかから、長女もわたしもAセットを選んだ。
まずはボルシチ。
野菜のピロシキ。日本のパン屋さんでときどき見かけるような揚げたものではなく、焼いたもの。中は酸味を押さえたザワークラウトみたいなものが入っていた。
メインのつぼ焼き。
きのこ(マッシュルーム)をサワークリーム(スメタナ)で煮たものに、パン生地をかぶせて、オーブンで焼いたものらしい。 どうやって食べるのか、一瞬迷った……。アイスクリーム用スプーンが添えてあったので、素直に使ってみたけれど、ナイフとフォーク使ったほうがよかったような気がする。ふたになっていたパン生地はにおいもよく、美味しかった。
デザートのケーキ。何のケーキなのか聞くの忘れた。
飲みものはセットに含まれていないので、ロシア紅茶(バラジャムつき)を追加で注文。ロシアといえば、紅茶なので。
わたしは紅茶にバラジャムを入れてしまったけれど、ロシアでは紅茶はストレートで、ジャムはお茶請けとして食べるのが一般的だとか。『ロシア文学の食卓』で読んだ気がするのに、すっかり忘れていた。わたしにとって、紅茶にバラのジャムを入れる飲むといえば「ポーの一族」なので、ロシア料理店でエドガーとアランのことを思い出すことに……。
熱い紅茶を飲んで、身体がぽかぽかになった。
厨房からロシア語(たぶん)の会話が聞こえてきて、給仕してくれたのはロシア人のイケメン青年(日本語堪能)。食器の置き方が雑なのがかえってよかった。平日なのに、わかりやすい場所にあるわけでもないのに、けっこう混んでいた。
ランチは値段的にお手軽だけれど、入門編という感じだったので、次は夜に行って、毛皮のコートを着たニシンなども食べてみたいし、グルジアっぽい料理にも挑戦してみたい。
カフェロシア
ポーランド祭2017に行ってきた
ポーランド祭でポンチキが食べられるという情報を得て(情報源はまたしても『TOKYO世界の絶品スイーツめぐり』)、10月13日(金)〜15日(日)に六本木ヒルズ 大屋根プラザで開催されたポーランド祭2017に行ってきた。ポンチキは『世界食べものマップ』では「ジャムなどをつめた おいしいあげがし」と紹介されている。日本で食べられるなら、食べてみたい。
初日に行く予定がバタバタして行きそびれたので、3日目の日曜日、銀座へ行く途中に寄ってみた。生憎の大雨だったけれど、大屋根の下なので雨でも大丈夫。気温が低くて寒かった。あんなに暑かったパラグアイ・フェスティバルが、ほんの1週間前だったとは思えない。
舞台では、フォークダンスあり、ピアノ演奏あり。雨が降る中、ショパンの「雨だれ」に耳を傾ける。続く「英雄ポロネーズ」は、終わったと思ったら、今度はジャズ・アレンジでもう一度。なかなか面白かった。ミハウ・スブコヴィアク氏はジャズ・ピアニストでもあるらしい。
物販も多く、民族衣装や陶器などにもそそられたけれど、予算の関係で初志貫徹して食べもの屋へ。
ピエローギに惹かれつつも、お菓子重視で手作りベザ(メレンゲ菓子)を買う。焼きメレンゲにラズベリーのソースをかけたもの。300円。紙のお皿がかわいい。
そして、ポンチキヤで念願のポンチキを購入! ラズベリージャム入り2つと薔薇ジャム入り1つ、計3個入って1,000円。見た目からあんドーナツのようなものを想像していたら、思ったよりずっとあっさりしていた。生地がおいしい。薔薇ジャム、インドの薔薇の香りのお菓子に比べると、香りはかなり控えめ。ラズベリーと薔薇、どちらもおいしくて、甲乙つけがたかった。
次にポンチキを食べられるのは1年後?と思っていたら、ポンチキヤのWebショップで、いつでもポンチキを買えるらしい。へえ〜。
パラグアイ・フェスティバルに行ってきた
『世界食べものマップ』のアルゼンチンのページに出てきたアルファホール(複数形はアルファホレス)。『TOKYO世界の絶品スイーツめぐり』(メレンダ千春著/ナショナル ジオグラフィック)によると、毎年10月に光が丘公園で開催されるパラグアイ・フェスティバルで食べられるらしい。今年のパラグアイ・フェスティバルは10月8日。というわけで行ってきた! 人生初・光が丘!
パラグアイ・フェスティバルといいながら、ペルーやブラジル、メキシコなどの店も。帯広畜産大や横浜国立大、東京弁護士会も。
ステージでは歌あり、踊りあり。アルパの演奏のあとは、ダンス。
まずは、エンパナーダで腹ごしらえ。三日月型の肉入り揚げパン。『世界食べものマップ』のアルゼンチンのページで紹介されているけれど、南米のあちこちで食べられているようだ。パラグアイの店で揚げたてのを買った。1個300円。
同じ店で買ったチーパ。こちらも1個300円。『世界食べものマップ』によると「タピオカ粉でつくったパン。チーズと牛乳とたまごをつかったものが一般的」だそうだ。
ほかにチョリソー(250円)を食べ、コシード(100円)を飲んだ。コシードはミルク入りとストレートがあり、おすすめを聞いたら、「ミルク入りが香ばしくておすすめ」とのことだったので、ミルク入りを。たしかに香ばしくて美味しかった。コシードって、焙煎したマテ茶のことらしい。
今回の目当てだった、アルファホ―ル(5つ入り500円)は、家に帰ってから、夕食後のデザートに。
『世界食べものマップ』によると、「ドゥルセ・デ・レチェをはさんだおかし。アイシングがかかったものもある」。ちなみにドゥルセ・デ・レチェは「牛乳とさとうでつくる、あまいクリーム」。コンデンスミルクに似ているけれど、コンデンスミルクとはちょっと違う(「コンデンスミルクを煮詰めたもの」と紹介されていることもあるけれど)。少々茶色い。周りにまぶしてあるココナッツがおいしい。意外と甘さ控えめで、軽め。日本向けにしているというわけではないのかな。南米の国々で食べられているらしい。マテ茶が合うらしいけれど、家にはないので日本茶で。家族にも好評。光が丘まで行ってよかった。
アルファホールはいくつかのお店で売っていたので、人気商品なのかも。
フィンランド人が大好きなキャンディ
今年3月に刊行された『世界食べものマップ』(フェーベ・シッラーニ、ジュリア・マレルバ著/辻調グループ 辻静雄料理教育研究所監修/中島知子共訳/河出書房新社)で北米・南米・ヨーロッパを担当したのだが、フィンランドのページに「リコリス(カンゾウ)をつかったしお味のキャンディ。フィンランド人はこのキャンディが大好き」と紹介されているサルミアッキが気になっていた。原書にそう書いてあったとはいえ、翻訳作業中にいろいろと調べていたら、「世界一まずいキャンディ」などと書いてあるのが出てきて、フィンランド人はほんとうにこれが大好きなのか不安だったのだ。監修の先生のチェックを経て、無事出版されたものの、不安は残り……。その後、フィンランド文学翻訳者のFさんからその通りだよ〜とお墨付きをいただいたので、ほっと一安心。「大好き」と書いて「ないと死んでしまう」と読むらしい(笑)。
そのやり取りをしていたとき、Fさんはちょうどフィンランドにいて、サルミアッキを食べたことのないわたしのために、お土産に買ってきてくれると申し出てくれた。で、帰国後だいぶたってから、ようやく会う機会があり、渡されたものがこれ。
左からサルミアッキのグミとキャンディーとチョコレート(上に並んでいるのは一緒にもらったフレーバー紅茶)。まずは一番ハードルの低そうなチョコレートから。チョコレートが美味しい。かなり美味しい。サルミアッキは気にならない。むしろアクセントになっている? 友人によると、フィンランドはもともとチョコレートが美味しくて、このメーカーのは特に美味しいらしい(一般にコーヒーが美味しい国はチョコレートも美味しいような気がする)。次女の協力もあってチョコレートはあっという間に平らげてしまった。美味しかったよ〜(チョコレートが)!
次はグミに挑戦。サルミアッキ味が中心ではあるものの、サルミアッキ以外の味のグミも入っていた。ほっ。ひとつ食べてみる……意外に大丈夫そう。2つめを食べてみる……大丈夫じゃないかもしれない……。口直しにほかの味のも食べてみる。こっちはふつう。サルミアッキ味には戻らない……。隣りで、一緒に食べていた長女がすごい顔になっていた(長女が出張でいないあいだにうっかりサルミアッキ入りチョコを食べ尽くしてしまい、「わたしも食べたかった!」と涙まじりに抗議されたので、大丈夫まだあるよ〜と、グミをあげたのだった)。気がつくと、袋のなかにはサルミアッキのグミだけが残っていた……。なお、次女は手を出さなかった。
ラスボスのキャンディーがまだ残っている。消費期限は2017年10月30日。それまでには、必ず。
クルド家庭料理
先週の土曜日、池袋での読書会に参加する前、なぜか京浜東北線・東十条で降りた。和菓子店草月で黒松(どら焼き)を買うためである。ほんとうは池袋のすずめやに行きたかったのだけれど、日曜・祝日は定休日なのであきらめた(土曜日だったけれど、秋分の日で祝日。くやしい)。草月はとても賑わっていて、お彼岸なので、おはぎを買い求める人も多かった。「研修中」の札をつけた初々しく、かわいらしい店員さんが接客してくれた。かわいい店員さんに接客してもらうと、なんだかうれしい。草月は「東京 どら焼き」で検索すると必ず出てくる有名店なのに(少なくともどら焼き好きのあいだでは)、黒松はひとつたったの100円(税別)。実に良心的なお値段である。迷わず5つ買った。自分のと母のと娘2人の分(ダンナはどら焼きは食べない)。ん? ひとつ余る? ま、いいか。
読書会に遅刻したら本末転倒なので、時間もさほどないことだし、お昼は適当に済ませるつもりだった。何なら立ち食いそばでもいいかなと考えていた。池袋へ向かうには十条から埼京線に乗ったほうがいいので、東十条から十条まで歩いていると、パレスチナ料理のお店があった。しかし、時間がないので、また今度!と横目で見ながら、十条へと急ぐ。十条に着いた!と思って、横を見ると、こんな看板が……。
えっ? クルド家庭料理? どんなのだろう?
気がついたら、階段を上っていた……。
入ってみると、中はあまり広くなく、先客が2〜3組。すぐにメニューを持ってきてくれた。ランチセットはナスのひき肉詰め、サヤインゲンと牛肉のトマト煮、オクラとひき肉のトマト煮の3種類。オクラとひき肉のトマト煮を注文した。時計を見た。料理が出るまで時間がかかったら、読書会に間に合わないかも……。そんな不安を払拭するかのように、それほど待たずに料理が出てきた。
一皿に全部盛ってある。これだとお皿の数が少なくてすむし、洗うのも楽。忙しいランチどきには最適だ。急いで、でも、それなりに味わって食べた。これで600円。プラス200円でコーヒーもしくはチャイ(飲み放題)がつけられるらしい。
今回は慌ただしくかき込んでしまったけれど、次はもう少し味わって食べたい。メニューを見ると、ケレビスという焼き菓子やヨーグルト、シャーベットなどもあるようなので、デザートも食べようと思う。チャイも。
https://mesopotamiajp.jimdo.com
※1階でクルド手芸製品の販売も行っているらしい。
メキシコ料理の夕べ
縁あって各国料理の会というのに混ぜていただき、かつてメキシコに住んでいたTさんおすすめの、広尾にあるサルシータというお店に行ってきた。この日のメンバーは女性ばかり6名。
いただいた料理は以下のとおり(後日、Tさんが細かい解説を書いて送ってくださった)。
●サボテンのサラダ(Ensalada de Nopal)
サボテンを食べたのはたぶん初めて。山くらげのような食感。コリコリして美味しかった。
●タコス(Tacos)
トウモロコシ粉でできたトルティーヤ(トルティージャ)で具を巻いたもの。メキシコの国民食とのこと。Tさんの話では、メキシコ人家庭のキッチンには、トルティーヤ用のこんろがついているらしい。
ソース(サルサ)は3種類。トマト、タマネギ、青トウガラシ、コリアンダーがベースのサルサ・メヒカーナ(Salsa Mexicana)、緑トマト、タマネギ、コリアンダーなどで作るサルサ・ベルデ(Salsa Verde)、チレ・グアヒージョ(またはグアヒーヨ)というトウガラシ、トマトなどが材料のサルサ・グアヒージョ(Salsa Guajillo)。緑はワカモレかと思ったら、違っていた。どれもおいしかった。
●チレス・エン・ノガーダ(Chiles en Nogada)
独立記念日(9/16)のころに食べるごちそうで、いつもメニューにあるわけではないらしい。行ったのがたまたまその時期だったので、ラッキーだった。大きなチレ(トウガラシ)の肉詰めにクルミソースをかけたもの(Tさんによると、この日食べたのはピーマンだったかもしれないとのこと)。ソースの材料はクルミのほか、サワークリーム、クリームチーズ、牛乳など。白いソースにザクロの赤とイタリアンパセリの緑が映えて美しい。この3色はメキシコ国旗の色。
●モレ・ポブラーノ(Mole Poblano)
鶏肉にモレをかけた料理(わたしは鶏肉が食べられない、見るのもダメなので、写真は撮っていない)。モレは3〜4種類の乾燥チレ(トウガラシ)をベースに、チョコレートでコクを出している。
●コチニータ・ピビル(Cochinita Pibil)
豚肉をバナナの葉で包んだ蒸し焼き。トルティーヤに包んで食べた。
フリホーレス(Frijoles Refritos)という豆のペーストが添えてあった。Tさんによると、和食のお新香のごとく、いろいろなものに添えられているとのこと。メキシコ料理は豆が多いので、豆好きとしては非常にうれしい。
デザートは全種類頼んで、みんなでまわして食べた。今思い出しても顔がほころぶほど、楽しかったし、美味しかった!(でも、この食べ方、男性がひとりでも混じっていたらできなかったかも?)
●パステル・デ・トレス・レチェス(Pastel de Tres Leches)
コンデンスミルク、エバミルク、生クリームを使った、「ミルク3種類のケーキ」。
●フラン(Flan)
プリンのこと。固めで、スプーンですくっても崩れなかった。
●アロス・コン・レチェ(Arroz con Leche)
ラテンアメリカにはお米を牛乳で甘く煮たデザートがあることは、数十年前から知っていたけれど、食べるのは初めて。甘いお米だからといって、怖がることはない!
●アイスクリーム
ひとつだけ遅れて出されたせいもあるけれど、とにかく食べるのに夢中で、写真を撮るのを忘れた。
お店の雰囲気も料理も接客もすべてが素晴らしかった。また行こう。
メキシコ料理 サルシータ
薔薇の香りがするインドのお菓子
インドに行った方のお土産をおすそ分けでもらった(嫌いじゃないと言ったら、残りを全部くれた。どうやら、苦手な人が多かったらしい)。砂糖たっぷりで、手に取って口に運ぼうとするとぽろぽろ崩れてくる。そして、お菓子とは思えないほどの、強い薔薇の香り。
調べたら、Soan papdi というお菓子らしい。パッケージに rose という文字が入っているところをみると、これは薔薇の香料が入ったタイプということか。
ミルクたっぷりの紅茶と合う。家で少し食べたけれど、全部は食べきれないと思い、残りはこういうのが嫌いじゃなさそうな人たちが集まる機会に持参した。さすが好奇心が警戒心に勝つ方々、予想通りの売れ行きで、みなさん飛びつき、けっこう好評だった。残りは、こういうの大好きなの!とおっしゃっる方が、ご家族のお土産に持ち帰った。めでたしめでたし。 食べものがむだにならずにすむのはよいことだ。